肥満大国と呼ばれているアメリカですが、実は日本よりも1人あたりのお野菜の摂取量が多いというのをご存知でしょうか。
それも、日本では歳を重ねるにつれて食の大切さに気づき、中高年の方になるほどお野菜を摂るように心がけることが多いですが、アメリカでは逆です。
若い人のほうが食事に気をつかい、意識的にお野菜を摂取しています。
これは、1990年頃から、アメリカが国をあげて『食育』に力をいれた結果だそうです。
病気になってから、医者と薬頼みの生活をするのではなく、若いうちから食事と運動で医者いらずな体を作ることを意識されています。
今日はそんなアメリカで、大人気のフェイクミート(植物代替肉)を食べてみたので、味や調理方法、原材料や添加物はどんな物を使っているかについて書いていこうと思います。
野菜ベースのチョリソー『SOYRIZO』を買ってみた
アメリカのフェイクミートというと、ビヨンドミート社の『ビヨンドバーガー』が有名ですが、今回はチョリソー(スペイン発祥の豚肉の腸詰めされたソーセージ)の代替品となる、あらかじめ数種類のスパイスで味付けされた物を購入してみました。
その名も『SOYRIZO(ソイリソー)』です。正しくは、伸ばさずに「ソイリゾ」と読むのかもしれません。
SOYRIZOを作ったのは、『エルブリトー』というカリフォルニアの会社で、大豆タンパクを使った肉の代替製品を始め、伝統的なメキシカンフードの製造・販売も行っている所です。
なんとこのSOYRIZOができたのは、今より約40年近くも前の1981年の頃だそうです。
メキシコ料理はとっても美味しいのですが、カロリーが高く、そして満腹感が少ないことから、ついつい食べすぎてしまいます。
アメリカよりもメキシコのほうが肥満の割合が多いのも、頷けます。
エルブリトーの創始者は、そうした背景から『美味しいメキシコ料理を健康的に食べてもらいたい』との想いで、大豆を使ったお肉の代替品を長年作り続けてきたようです。
そのSOYRIZOですが、遺伝子組み換え作物を使わず、そしてベジタリアンの方も、ユダヤ教の方(コーシャ)も、グルテンフリー生活をしている方も手にとれる商品となっています。
そしてオーガニック認証もされていたので、思わず手にとってしまいました。
お値段は、340g入って、$3.99/ 427円(2020年5月現在)でした。
商品左下についているマークの見方
(1)蝶々の絵が書かれた「NONGMO」マーク
遺伝子組み換え作物を使用していないという証です。
商品パッケージに、「NON GMO」とだけ書かれている場合もあります。
(2)GFのマーク
グルテンフリーの商品という証です。
(3)USDAと書かれた、白と緑のマーク
オーガニック(有機)認定のされている証です。
(4)Uを丸で囲んだマーク
コーシャ(ユダヤ教の方が食べられる)認定を受けた証です。
コーシャのマークはこれ以外にもいくつかあり、日本では「コーシャ・ジャパン」の頭文字をとって『KJ』と書かれている商品もあります。
日本酒で有名な南部美人や、獺祭(ダッサイ)、大関もコーシャ認定を受けているそうですよ。
南部美人←こちらの商品画像は、パッケージをアップにして見やすいので、よければ一度見てみてください。ラベル右下に『KJ』のマークが入っています。
外国人にお酒のプレゼントを考えている方は、こうした製法に気を配っている物を選ぶというのも相手への配慮になると思います。
SOYRIZOの原材料と添加物
お肉の代替品として使われるこちらのフェイクミートは、100%植物由来で健康的と言われていますが、気になるのはその原材料と添加物です。
加工食品なので、ある程度の添加物は入っていると覚悟して手にとりました。
原材料と添加物の一覧をパッケージから見てみます。(2020年5月現在)
有機大豆タンパク質
日本にも大豆ミート と呼ばれる商品がありますが、それをもとに作られた加工品だと想像してもらうと分かりやすいかもしれませんね。
高酸度醸造酢
スーパーなどでよく売られているお酢の酸度が5%くらいだとすると、この高酸度醸造酢の酸度は15%と高めです。
酸味の濃度が高いですが、醸造によって作られているとのことです。
ポブラノ
ポブラノは、メキシコ産の唐辛子で、辛味がマイルドな物です。
有機カラメル色素
有機サトウキビなど植物由来の糖を加熱・焦がすなどして作られた色素です。
キサンタンガム
キサンタンガムは、微生物から作られる増粘多糖類です。
ドレッシングやソースなどのトロミを出すために入れられる添加物の1つですね。
着色料
着色料は、パプリカから抽出した天然由来の物以外は使われていないようです。
塩
sea salt(海塩)以外にも、salt(塩)という表記があったので、『食塩を使っているのかな?』と思って調べてみましたが、『コーシャソルト』を使っている可能性も考えられます。(ユダヤ法にのっとった調理方法)
もともと味付けされている物だったので、かなり添加物が多いのではないかと思っていましたが、味付けされていないビヨンドバーガーよりも添加物が少ないのは、ちょっと意外でした。
『ビヨンドバーガー』についての記事は、Miradaさんが書かれていたので、こちら『ベジタリアン用の人工肉 The Beyond Burger(ビヨンドバーガー)』をごらん下さい。
一般的なチョリソーとSOYRIZOの栄養成分比較
一般的なチョリソーに比べると、SOYRIZOはかなりのカロリーオフ商品だと言えますね。
コレステロールが0で、植物由来だから食物繊維が含まれているというのもSOYRIZOの魅力です。
SOYRIZOにすると、脂質は5分の1、ナトリウムも2分の1近く少なくなります。
ただ、タンパク質も少なくなっていますね。
SOYRIZOの使い方
パッケージを外すと、このように長い1本のソーセージになります。
私の握りこぶし約3個分はあるでしょうか。たっぷり340g入っています。
基本的には、チョリソーのように使うだけなのですが、こちらのSOYRIZOには注意点が2つあります。
1)一般的な腸詰めのチョリソーと違って、プラスチックでパッキングされているから、周りの透明な部分が食べられない。
2)パッキングから出すと、チョリソーのようにソーセージの形はしておらず、ひき肉の状態になる。
こんな感じです。
歯磨き粉のように、手で押し出すとニュルニュルっと出てきます。
見た目は、ただの味付けされたひき肉です。
パッケージから出すと、チリペッパーやパプリカの香辛料の香りが漂います。
香辛料を使ったカレーを作るときのように、食欲の増す香りです。
ソーセージタイプだと思って買ったので、SOYRIZOのホームページを読んで驚きました。
ひき肉を、『ただソーセージの形に見えるようにパッキングしただけ』という感じでした。
SOYRIZOを使った料理と味
こちらの商品は、パッケージの裏におすすめのレシピが書かれていました。
メキシコ料理の1つ、ブリトーという料理のレシピです。
ザックリ訳すと、
『トルティーヤ(トウモロコシ粉で作られた皮)に、SOYRIZO・卵・ねぎ・パプリカなどを一緒に焼いたものを巻いて、サルサソースやチーズと一緒に朝食に召し上がれ。』
という風に書いています。
せっかくなので、半量を使ってブリトーを作ってみました。
トウモロコシ粉が無かったので、今回は家にあったひよこ豆の粉でトルティーヤを作ってみました。
初めて食べるので、SOYRIZOそのものの味を楽しむために、シンプルにSOYRIZOだけを炒めてトルティーヤにのせました。
他の食材には味付けを一切せず、SOYRIZOにもともとついている味のみでしたが、美味しく頂くことができました。
見た目、食感、味、どれをとってもお肉にしか思えません。
トルティーヤ、レタス、SOYRIZO、目玉焼きの4種類で丁度良い味になったので、SOYRIZO単体だと味が濃いかもしれません。
スパイスが効いていて、とても良い香りでした。
辛味も程よく、思ったより刺激のある辛さではありません。日本人好みの旨味のある辛さで、満足感があります。
味がしっかりついているためか、大豆感や大豆臭さは全く無く、植物代替肉の中でも食べやすいほうだと感じます。
きっと何も言われず出されたら、お肉だと思って違和感無く食べてしまうだろうと思います。
残りの半分を使って、次はレンズ豆のスープ作りに挑戦しました。
こちらは、メキシコ料理を愛する人の記事を参考にして作ったのですが、めちゃくちゃ美味しかったです。
今までレンズ豆を使ったことが無かったのですが、『せっかくメキシコ料理を作るなら、現地のレシピで作りたい』と思い、初挑戦でした。
レンズ豆ってこんなに美味しいんですね。
イメージはミネストローネや、小学校の給食で食べたほんのり甘いトマトが効いたチリコンカンのような懐かしい感じです。
お野菜の甘みとお豆のホクホク、SOYRIZOのピリっとした旨辛さとスパイスが絶妙に合わさっていて、お気に入りのレシピとなりました。
さいごに
今回は、大豆ベースのフェイクミート『SOYRIZO』についてでした。
日本では「ベジタリアン」や「ヴィーガン」というと、まだまだ偏見もあるだろうし、変わった人だと思われるかもしれません。
また、こうした商品を見かけると『菜食主義者といっても、結局お肉を食べたいんじゃん。』と、ベジタリアンの方達が無駄な我慢をしているように感じる人もいるかもしれません。
ただ、こうした商品を手に取る人が、どういう経緯でベジタリアンやヴィーガンになったのかという背景を知ってみることも大切だと感じました。
『お肉を食べない』の背景には、動物愛護の観点だけではなく、環境への配慮であったり、健康のためであることもあります。
お肉を食べたくないのではなく、『お肉は好きだけど環境を大切にしたい』『お肉よりも野菜を多く摂ることを意識したい』『食育の一環として子どもたちに伝えたい』など、色んな想いから、こうしたフェイクミートは手にとられています。
私は、ヴィーガンでもベジタリアンでもないですが、アメリカでは、1人ひとり違う食への価値観・考え方を持っていることが当たり前で、それはとても素敵なことだと感じます。
彼らと関わるたびに、家族の健康のために常に身近なことへの疑問を抱いて生きることの大切さを学びます。
日本にもこれからどんどんフェイクミートは増えていくだろうと思いますし、こちらの商品が入荷される日もそう遠くないかもしれません。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます^^
皆さんにとって素敵な1日になりますように◎
*1:こちらの栄養成分比較はアメリカ合衆国政府の公式ウェブサイト(米国農務省農業研究サービス)を参考にして作成しています。